高血圧とは、血圧がある程度の範囲を超えて高く維持されている状態です。人の血圧は自律神経によって調整されており、刻一刻と変化しています。朝、緊張している時やストレスがかかっている時には血圧が上がりますし、夜リラックスしている時には、低くなります。ですから、一度血圧を測って高かったからと言って、すぐに高血圧とは診断をつけませんし、その後に基準値内に下がれば、一概に高血圧とは言えません。血圧のいつも高い状態が継続していることが問題になるのです。
高血圧は日本人にはとても多い病気で、40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧と言われます。
高血圧は放っておくと、常に血管に圧力が加わって、動脈が傷みやすく、動脈硬化の原因になるのが大きな問題です。それと同時に、血液を高い圧力で送り出しているのは心臓ですから、心臓が多くのエネルギーを必要とし、疲弊しやすくなります。つまり高血圧は、血管や心臓などの臓器に障害をもたらすのです。その結果、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳出血、脳梗塞の原因になったりします。
高血圧そのものは無症状のことが多いので、日々の血圧測定や健康診断などを通じて早期に発見し、早めに対策を打つことが大切です。
腎臓も血圧の影響を大きく受ける臓器です。腎臓は、血液の中から要らない老廃物や有害な物質を濾過(ろか)して取り出し、それを尿にして体外に排出する働きを担っています。腎臓で血液を濾過する部分は、毛細血管のかたまりのようになっています。高血圧の状態が続くと毛細血管に動脈硬化が起こって血流が悪くなり、腎臓の働きは低下してしまいます。
人を高血圧になりやすくする危険因子というのが知られています。遺伝、肥満、耐糖能異常(糖尿病予備群)、ストレス、喫煙、塩分の多い食事、飲酒の習慣などですが、これらを多く併せ持っている人ほど、高血圧になりやすいと言えます。
また、なかには腎臓や副腎などの臓器疾患からも二次的に高血圧になるケースがあり、これらを「二次性高血圧症」と呼びます。頻度としては高血圧全体の5~10%程度です。診断には血液検査や画像診断が必要です。
まず行うべきは、上記のような高血圧の危険因子を知って、そのうえで適正な体重にし、適度な運動を継続的に行い、減塩に努めるなどの生活習慣の改善(食事・運動療法)を心がけることです。
また、医師から薬を処方されたら、指示通りにしっかりと飲むことも大切です。
一度薬を飲み始めたら、一生やめられないと思っている方が少なくないようです。しかし、食事・運動療法の継続により症状が改善されてくれば、薬の量を減らしたり、やめたりすることも可能です。一度降圧薬を服用し始めたら飲み続けなくてはいけないと考えるのではなく、薬がやめられるように日頃から生活習慣の改善を心がけ、それを継続することが大切なのです。
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